軟性鏡はいわゆる内視鏡のことで、直径5mmや9.8mmの柔らかく曲がるスコープで、食道・胃・腸の検査や異物の摘出を行うことができます。 硬性鏡は、先端が固いため曲げる事ができませんが、軟性鏡にくらべ画像がより鮮明に拡大されます。この利点を生かし、傷の小さい手術を行う事ができます。 すべての病気に対応できるという訳ではありませんが、腹腔・胸腔・鼻腔・関節・耳道・膀胱などの検査や手術が可能です。 また、鳥やカメなど小動物の手術の補助としても役立ちます。
通常の開腹手術では、おなかを大きく切開して、手術を行いますが、 腹腔鏡手術では、お腹に小さな穴(数ミリ)を2〜3カ所開け、そこからカメラや手術器具を入れて、テレビモニターを見ながら手術を行います。 避妊手術の他に、停留睾丸摘出、胆のう摘出、膀胱結石摘出、腸内異物摘出、各臓器の生検などを行うことができます。
膀胱鏡は、尿道からスコープを入れて膀胱内の検査、腫瘍の生検、結石の摘出などを行う事ができます。 例えば、超音波検査で発見された、膀胱内腫瘤の良性悪性の診断に必要な組織生検を、お腹を切らずに行ったり、どのように発生しているのかを確認したりできます。 そのため手術が必要なのか、可能であるのか、などの大切な判断材料になります。 また、従来は小さい結石でも開腹しないと取り出せなかったのですが、大きさが4mm程度であれば膀胱鏡で取り出す事ができます。 残念ながら、オスは尿道が直線でないため膀胱まではスコープを挿入する事ができません。
耳の汚れや悪臭、耳を気にするという症状が続く場合、耳道に何らかの問題が起こっている可能性があります。 鼓膜直前に存在する毛・汚れ・細菌による慢性の外耳炎、ポリープや癌などの腫瘍、異物など様々です。
一般的に外耳炎では簡易型の耳鏡で確認し、洗浄液で耳をもみ洗いします。 この処置で通常は良くなりますが、なかなか良化しない場合は、耳垢がきちんと除去されていないか、上記のような他の異常が存在している可能性があります。 簡易型の耳鏡は、鼓膜や鼓膜直前などの一番奥の様子を詳細に観察する事ができませんが、耳鏡(オトスコープ)では耳道入り口から鼓膜まで詳細に観察する事ができます。 また、鼓膜や鼓膜直前の毛や汚れ、腫瘍や異物を的確に処置する事ができます。
当院では、整形外科手術にも力を入れています。 整形外科疾患の疑いがあるときは、お気軽にご相談ください。
整形外科疾患の例
当院では、CT検査により、病気の早期発見や、より精度の高い手術を行うことが可能です。
当院では、最新鋭の全身用コンピューターマルチスライス断層撮影装置NEW ProSpeed FU Premiumを共同所有しております。 このマルチスライスCTは、X線を利用して動物体内の断層像を得るためのもので、最新のコンピューター技術を用いて1ミリ単位で精密な画像を作成し、解析することができます。また、3D画像を構築することで、ご家族と私たち獣医師が同じ目線に立ち、動物の病気を理解してあげることが可能となります。
獣医療の発達により動物の寿命は長くなりましたが、人間の世界と同じで、がん(悪性腫瘍)は増加する傾向にあります。 がんとは、動物の体から栄養を盗んでしまうという、悪い細胞です。がんは、自然治癒することがほとんどないという点が特徴です。治療を施さなかった場合、ほとんどのケースが死につながるため、早期発見と早期治療が大切です。 がんとは、そのような恐ろしい病気なのです。
症状に気づきにくいという点も、がんの恐ろしいところです。でも完治のために大切なのは、やはり早期発見です!以下に紹介するような症状が見られた場合、検査をしていただくことをお勧め致します。
当院ではCT装置を共同所有しており、レントゲン検査では、正確に分からないガンの大きさや、転移しているかどうか、また、手術が可能かどうかの判断に有用です。 がんの治療には、外科療法・化学療法・放射線療法・免疫療法などがありますが、放射線療法など特殊な場合は大学病院などへの紹介も行っております。 また、補助療法の一つとして高濃度ビタミンC点滴療法も行っております。免疫力を上げ生活の質を向上する事が期待できます。 さらに治療過程やがんの進行で引き起こされるがん性痛の管理もガン治療と同様に大切ですので、数種類のお薬で対応しています。 犬の場合、ガンの発生率は人間の2倍以上で、最近ではペットの約4頭に1頭が生涯のうちガンを発症するといわれています。 体の中お腹の中や血液のガンは、検査をしないと発見できません。しこりの確認など、発症年齢に近づいたら(犬・約6歳〜約12歳、猫・約7歳〜約8歳)CTを利用したガン検診を受け、早い段階でガンを発見しましょう。